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鉄道小バザールとは、サラリーマンによる海外乗り鉄っちゃんの記録集です。






 

 ゴールデンウィーク・広州IN香港OUTのマイレージのタダチケットを先に取って、その後、行先をあれこれ選び、中国山岳鉄道の代表格といえる成昆線にトライすることにしました。

 初掲載:2015年3月 Last Update2015年3月



成都(09:22) 昆明(翌05:33)  K114次快速 軟臥 上鋪  372.5元
1元=16.3円(当時のレート)


2か月前の惨劇の現場に、知らず知らずのうちに向かう
 ホテルを出て10分足らずで昆明駅に到着。珍しくパスポートチェックを受けて駅の中に入る。現在、ダフ屋対策で優等列車には実名制が敷かれており、切符の左下に氏名とID番号(日本人の場合はパスポート番号)が記載されている。しかし、パスポートを見せろと言われたのは初めてだ。駅員の気まぐれだろが、あまり気持ちのいいものではない。第一、面倒だ。
 この昆明駅は、旅行の2か月ほど前に無差別殺人事件が起こり、34人もの方がお亡くなりになった場所だ。他の駅より警察が多いのも、その影響か。
 2階の馬鹿でかい待合室でリュックを降ろし、しばし休憩。軟席の待合室には今回は入らなかった。少しばかりの菓子とミネラルウォーターを購入し、K114次改札のゲートを抜け、プラットホームに降り立った。
 リュックを抱えつつ、先頭車両から最後尾まで、儀式のようにホームを歩く。16両編成だ。マニアックな方には失礼だが、中国の列車はバリエーションが少なく、あまり面白みがない。「大量輸送」「大量生産」を最優先に考えれば、当然か。特に感慨もなく、切符で指定されている12号車の軟臥に乗りこんだ。

922分出発
 インターネットで中国の代理店経由で入手したチケットは上鋪、つまり上段だ。窓外の景色を見るには不都合。だから下鋪と交換してもらうことを目論み、荷物をベッドに置くだけにして、通路にある簡易椅子に座る。

 下舗の人は30歳台の女性で、先ほど話しかけられたが、当然私は中国語が話せない。すると、彼女は英語で話しかけてきた。
 2年前の大連でもそうだったが、英語が話せる人がかなり増えてきたような気がする。高等教育、そして仕事の関係で話せるようになったのだろうが、日本より話せる人が増えてくるのは確実だ。何せ語順が英語と中国語は同じだから。
 定刻の922分に出発。

 ほどなく、女性の車掌が改札にやってきた。換票といい、「切符を預け、プラスチックカードを受け取る」中国独特のシステムだ。さぁ、交渉。事前に小ノートに「可以換為下鋪馬(下鋪と替えてくれないか)?」と、正しいかどうかわからないが、おそらく意図はわかるであろう中国語もどきを書いて示した。念のため、ポケットに賄賂用の札を用意して挑戦するも、相手にしてくれない。軟臥のベッドが結構空いているではないか、と思ったが、それが言えるほど中国語ができるわけもなく、英語で、つまり意思疎通を態度で示すものの、無理の一点張り。仕方なくあきらめる。
 すると、件の下鋪の女性が替わってくれるというではないか。多謝・Thank youを連発して交換してもらう。日中、下のスペースも使わせてもらうわよ、というが、そんなこと、何ら問題ない。喜んでリュックを降ろし、下鋪を確保した。

成昆線は元軍事路線

 成昆線は文字通り成都と昆明を結ぶ線で、1970年に開通し、2000年に全線電化となった。全長1100キロで世界でも有数の山岳路線だ。何重ものループ線で山脈を越えていき、トンネルは427本(総延長344.7km、うち3km以上のトンネルは12本)、橋梁は991本(総延長106.9km)を数え、全線の41%がトンネルと橋梁で占められる。また、地勢の関係から122の駅のうち3分の1に当たる41の駅はトンネル内や橋上に建設されている(以上、ウィキペディアによる)。
 しかも、ミャンマー国境に比較的近く、辺境警備のための軍事路線の意味合いがかつてあったといわれている。

 広通を過ぎてからループ線があるかと思ったが、その前からループと思われるところがあった。新線に替えたからか、ネットで事前に調べたよりも、トンネルが多く感じられた。広通ではなく、広通北で停車。これも新線の影響か。

 その後もループ線(と思しきところ)がいくつかあり、トンネルをいくつも通りすぎる。車内の明るさの変化が激しく、本を読んでいると、少しうっとうしくなってきた。

昼食はワゴンで運んでくる弁当を購入。20元。紅生姜の酢漬けがてんこ盛りで、正直、あまりおいしくなかった。

 中国は車両のバリエーションが少ないと前述したが、マイナーチェンジは当然あり、この車両はコンパートメント毎にコンセントがある。通路側にもコンセントがあり、スマートホンを充電している人もいる。これも時代の流れか。私自身も夜、携帯の充電に利用した。

 元謀を定刻よりも10分ほど早く到着。そして定刻の出発。単線のため、列車交換のための余裕のダイヤ 編成を組んでいるのだろう。
   車端には喫煙スペースがある。ただ単に灰皿があるだけだが、私のような喫煙者にはありがたい。2年前に乗車した中国新幹線ではこうはいかない。青蔵鉄道では灰皿はなかったが、車端でこっそり喫煙したっけ。

西昌でも人の出入りが多く、完全に満席状態。確かにこれでは車掌の胸先三寸で上鋪と下鋪を交換することは無理だ。交換していただいた女性に改めて感謝。

西昌を1831定刻に出発し、2両先の食堂車に向かう。安易に麻婆豆腐(20元)と飯(2元)を注文。思ったほど辛くはないが、山椒がこれでもかとかかっており、口に違和感が残る。日本人にはあまり口に合わないだろう。

   普雄でも人の出入りがかなりあった。朝が早いので、布団をかぶり、早めに寝ることにしよう。

朝の号令「換票!」
 二度ほど目が覚める。つばを飲み込むと鼓膜が軽く破裂する音が耳奥に感じる。高度変化による気圧の現象か、疲労によるかぜの引きかけか・・・。ペットボトルの水を一口飲み、目を閉じる。

 「換票!」の号令で目が覚める。車掌がコンパートメントのドアを開け、仁王立ち。時計を見ると445。かなり早く起こされるが、誰も文句を言わずプラスチックカードとチケットを交換する。顔を洗い、コンタクトを入れ、身支度をする。成都南駅を超え、環状路線を進んでいると思われるが、車窓はまだ暗い。夢かうつつか、けだるいひと時を過ごす。

 定刻の5:33より2分ほど早く成都駅に到着。プラットホームに降り立つ。まだ外は暗い。中国は北京の統一時刻なので、成都のような西側の地域はまだ夜明け前。寝起きで体がまだ100%の状態でない人々が、暗い地下通路を荷物抱え、出口へと黙々と歩いている。一種独特の雰囲気が漂うが、私自身もその一部なのだ。

 駅前広場に出る。空は濃い青で日の出にはまだ時間がかかりそうだ。にもかかわらず、たくさんの人で広場は埋まっている。まだ地下鉄も走っておらず、朝食が摂れ、休憩できるところを探すと、ケンタッキーがある。日本では全く行かないが、ほかに適当なところがなさそうなので、ドアを開けた。席は空いているだろうか

How To Get Tickets

中国の代理店のHPから予約したが…

以前使った代理店より手数料が安かったAra China
http://www.arachina.com/train/china-trains/
で予約しました。しかし、結局は中国の鉄道予約サイトである12306(中国鉄路客戸服務中心)
http://www.12306.cn/mormhweb/ で代理予約していると思われます。「12306で予約すると必ず上段」というのが都市伝説!?

脱線閑話休題

昆明での小旅行:鉄道で石林へ


 石林へはバスの往復がポピュラーですが、駅(ホテル)から小一時間かかる東部バスターミナルが出発ということもあり、730昆明発の7452/7453次普客(各駅停車)に乗ることにした。列車だとかなり時間がかかるが、変化を優先しました。中国のインターネット検索サイト「百度」の百度地図を見ると大きなS字カーブがあり、高低差がかなりありそうでおもしろそうだったことも、選択した理由の一つです。3時間かかるものの、のんびり・まったりした鈍行列車を味わうことができました。
 
 朝食は駅で買ったカップラーメン。中国の列車は必ず湯沸かし器があるので助かる。ただ、途中、家族連れの子供たちがはしゃいで、騒がしい一幕はあったが、これも一興。
石林駅舎はコンクリートで石林を模した外観になっていました。乗り合いタクシー10元で石林風景区へ簡単に行けます。
成都での小旅行:バスで楽山大仏へ
   K114次で峨眉駅で降りて向かうことも考えたが、峨眉駅から成都への鉄道本数が少なく、成都着が夜中になるため、成都まで完乗の後、バスで向かいました。「行って戻る」形になるが、やむをえない。
   世界一大きな大仏として有名で、石林と同様、世界遺産になっています。
 デカッ、のひとことで、荘厳さといったものは感じられなかった。平日ということもあり、大仏脇の階段の渋滞もなく、容易にクリア。
<参考>2015年3月現在、楽山へは、新幹線が通り、より便利になりました。
地下鉄



   昆明・成都ともに乗車。どちらも椅子がプラスチックで、座り心地は良くない。ホームドア方式は新しい地下鉄の標準様式になっているのかもしれない。車内の路線駅表示もわかりやすい。成都地下鉄の車中は、おしゃべりがひどく、閉口してしまった。

なっている。デカッ、のひとこ荘厳さといったものは感じられなかった。平日ということもあり、大仏脇の階段の渋滞もなく、容易にクリア。

中国火車旅行(宮脇俊三著・角川文庫)
 1980年代の成昆線の置かれた位置(軍事路線)がよくわかる記述が出てくる。同行のカメラマンに、「車窓の景色を写真で撮るな」と言うんだもの。
走れ大峡谷を縫って 〜中国・成昆鉄道1100キロ〜(NHK衛星放送・初回放送は2001年8月6日)
 「世界の山岳鉄道 〜列車は天空をめざす〜」シリーズの第2回として放送されました。俳優の伊原剛志氏が、全線を日中に乗車する旅行記で、中々貴重な映像です。私はNHK衛星放送のアーカイブス番組で録画したものをDVDにして持っています。検索すると、何故か中国版YouTubeみたいなところで見ることができます(間違いなくイリーガルでしょう)。


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