鉄道小バザール本文へスキップ

鉄道小バザール






鉄道小バザール

鉄道小バザールとは、サラリーマンによる海外乗り鉄っちゃんの記録集です。


 海外鉄道 の定番中の定番。ポール・セローの「鉄道大バザール」にも、沢木耕太郎の「深夜特急」にも登場した、縦断・横断鉄道のいわば「へら鮒釣り」的存在です。
 まだ走破していなかったので、寝台列車のはしごで弾丸縦断(ホテル0泊)しました。

 
 初掲載:2013年6月 Last Update2013年6月


  



 シンガポール 22:00  クアラルンプール 06:23
(06:55)
 EKSPRES SENANDUNG MALAM ADNFD   MYR320.6
 クアラルンプール 20:00
(21:00)
 バターワース 04:39
(05:25)
 EKSPRES LANGKAWI ADNFB  MYR85.00
 バターワース 14:15
(14:20)
 バンコク 09:55  No.36   THB1210
  1MYR(マレーシアリンギット)=28.37JPY  1THB(タイバーツ)=2.8JPY <当時のクレジットカードでのレート>   (カッコ内時刻は実際の時刻)




A380でシンガーへ

 筆者は「鉄ちゃん」ではなく、「乗り物ちゃん」を自負しているだけに、A380は早めにクリアしておきたい乗り物でした。
 当時はまだ世界中に3・4路線しかなく、SQ(シンガポール航空)でシンガポールに向かうことにしました。
 SQのA380には2階にもエコノミー席があることから、SQのホームページから、アッパーデッキ(2階席)を指定しました。搭乗もアッパーデッキから(つまり、直接2階席に乗りこめる)! 窓側の席には肘掛付近にも収納スペースがあり、モニターも大きく、快適そのもの。そして、「静か」。使いもしないのにA380がプリントされたトランプをもらい、子供丸出しと反省。

ホーカーズで腹ごしらえをしてタンジョンパガーへ

 シンガポールのいいところは、屋台が衛生的なこと。ホーカーズと呼ばれる屋台街でフライド・ホッケンミー(福建麺の焼きそば・6SGD)を食べ、少し街を散策してタンジョンパガー駅へタクシーで向かった。

タンジョンパガーはクラシカルな駅舎

 この駅から列車に乗るのは2度目だが、天井が高く、趣のあるいい駅舎だ。1日に運行する列車も片手程度で、ゴミゴミしておらず、発展著しいシンガポールにあっては、エアーポケットのような存在だ。1等寝台を予約していたので、特別室のようなところに通され、本を読んでひと時を過ごす。

シンガポール出国前にマレーシア入国

 シンガポール・マレーシア間を結ぶので国境越えがある。通常の国境越えだとシンガポール出国手続きの後、マレーシア入国手続きだが、ここでは最初にマレーシア入国手続きがある。
 実はこの路線はマレーシア国鉄所有のため、最初にマレーシア入国となる。この駅は2011年6月に閉鎖され、このような摩訶不思議なセレモニーがなくなってしまった(現在は、この後登場するウッドランズ始発)。

1等個室上(?)に乗り込む

 この旅で3回寝台列車に乗るため、バリエーションを楽しもうと、まずは1等個室寝台の上(?)と言われるAircon Day Night First Deluxe(ADNFD)を予約した。2人用個室でシャワーとトイレがついている。線路と平行に2段ベッドが設置され、スペース的には十分な広さだ。2200出発。

ウッドランズで晴れてシンガポール出国

 ゆっくりと進み、ウッドランズに到着すると、下車してシンガポール出国手続きをする。
 再度列車に乗り込むと、上段の客が入ってきた。マレ−シア人大学生で、これからクアラルンプールに戻るとのこと。列車はコーズウェイ(国境の橋)をノロノロ渡り、マレーシアのジョホールバルに到着。窓に映る国境越え手続き待ちの車列がやけに旅情をそそる。夜食のナシゴレンが運ばれたので平らげ、眠る。

  

寒さで目が覚める


 途中、寒さで目が覚め、スウェットを重ね着して再度眠る。6時少し前に本格的に目が覚め、シャワーを浴び、髭をそる。朝食のハンバーガーが運ばれ、コーヒーとともに胃袋へ。

 

KLセントラル到着

 今回(注:後述)は30分程度の遅れのようだ。近郊列車が何度か対向線路を通り過ぎるようになってきた。地下のKL(クアラルンプール)セントラル駅に6時50分に到着。(右写真は以前のターミナル、クアラルンプール駅)
 



日中はKL観光

 KLCCのモール散策をしたり、KLタワーに上ったりと、定番の観光で日中を過ごす。繁華街はシンガポールと遜色はない垢抜けた雰囲気で、特にKLCCのモール街は世界有数といっても過言ではない。美しさと、店舗数は、今までのどこよりも多いように感じた。ただ、トイレが有料(2RM=リンギット)なのは、玉にきず。でも、モールを出ると公園で緑が多く、理想的な未来都市といった雰囲気だ。

列車は1時間遅れで出発


 夕食にクレイポットライスをとり、駅に戻る。改札前の広場は列車待ちの人々でごった返していた。始発にもかかわらず出発が遅れるというのは・・・。結局1時間遅れの21時に出発した。
 

今回は1等寝台の下(?)の乗車


 今回乗車のランカウイエクスプレスは、マレー鉄道の代表格。Aircon Day Night First(ADNFB)という一等個室寝台の下(?)を予約した。ベッドは線路と垂直に設置され、洗面台もついているが、シャワー・トイレはついていない。
 マレー人のおっちゃんと同部屋となる。KLのメリディアンホテルでコックをしていて、実家に戻るとのこと。1等に乗るあたり、それなりの稼ぎなのだろう。それにしても相変わらず寒い。嵩張り覚悟で持ってきたスウェット上下は正解だった。買っていたドーナツを頬張り、少しだけ本を読み、朝が早いので早めに毛布にくるまる。

早朝のバターワースに到着

   

 この列車はタイ最南端のハジャイ行きなので、同室のおっちゃんを起こさぬよう、5時25分、出発と同様1時間遅れで下車した。まだ、夜は明けていない。



プラナカンの世界


 駅で荷物を預け、夜明けをフェリーで迎え、ペナン島を観光した。フェリーを降りたところのバスターミナルで、ナシレマ(小魚ごはん)とテ(ミルクティー)で2RMの朝食をとり、ペナンヒルや、世界遺産になったばかりの街並みを散策。
 人通りの多い市場内の食堂でホッケンプロウンミー(エビ福建麺)を食べてプラナカン(華僑)の世界に少しだけひたった。
フェリーでバターワースに戻ることにする。ペナン島行きのフェリーで1.2RMを払っているので戻りはタダというシステム。香港・スターフェリーよりも少し距離はあるが、同じような乗り物。狭い海峡の中をタンカーが通り抜け、少し緩んだ雰囲気が船内を包む。至福のひととき。


えっ、国際列車が2両だけ?

 バターワース駅に戻り、荷物のピックアップとタイバーツへの両替をして列車を待っていると、ディーゼル機関車に牽引されてきた客車はたったの2両。機関車はKTM(マレーシア国鉄)だが、客車は車体にペイントされている文字からタイ国鉄とわかる。とにかく乗り込み、1420分出発。切符の表示はタイ時間なのだろうか。

満員でマレーシアを横断

 マレーシア鉄道は本数が限られていることもあるせいか、しばらくすると次第に乗客が増えていき、満員になった。青々と茂ったジャングルを車窓にまったりとしたひと時を過ごす。

パダン・ブサールで国境越え

 パダン・ブサールで一旦下車して国境越えの手続きを済ませる。タイ国鉄の機関車への付け替えを見つつ、売店で買った肉マンを頬張り、再び列車に乗り込む。
 タイに入国すると、線路わきのスペースが広くなり、木々も少し趣を変えたものになっていた。タイ最初の駅のハジャイ(Hat Yai)で増結し、長距離列車の風格が出てきた。マレーシア国内と打って変わってかなり車内がすいてきている。出前の注文を取りに来たのでオーダーしてパクつく(150THB=560円)。

今度は2等寝台

 しばらくして寝台のセッティングにやってきた。2等寝台だが、日中座っていた席ワンボックスがそのままベッドになるわけで、線路と平行に眠る形となる。JR581系寝台を思い浮かべるとイメージが湧きやすいか。しかも2段しかないので、日本の感覚では昔のA寝台並みの居住性があるといっていいでしょう。

タイの朝日を浴びて北上

 日本ではしない早寝早起きで、日の出を車窓から眺める。出前の朝食を摂る。100バーツ払い、おつりはリンギットでもらう。この期にリンギットでおつりをもたってもなぁ。前夜にトイレにシャワーノブがあるのを発見したので、シャワーを浴び、すっきりする。

バンコク・ファランポーン駅へ

 緑の中を進んできたが、徐々に都会へ向かっている。バンコクに入ると、少し遠方に高層建築が見えるものの、ふと視線を降ろすとスラムの街並みが。繁栄と貧困が同居している。

 事前にネットで調べると1124分着となっていたが、思いのほか早く、955分、ファランポーン駅に到着。駅で荷物を預け、さて、どこをうろつき歩こうか。今夜の夜行のSQでバンコクを発ち、明日の朝には成田なので、泣いても笑ってもあと十数時間。

 

How To Get Tickets

マレーシア鉄道はネット予約が便利


 初めてKTM(マレーシア国鉄)に乗った2006年当時は、情報がなく、新宿のHISに手配したが、かなりのぼったくり額だったことを記憶しています。
 その後、KTMはネット予約ができることを知り、2007年の旅行時にはネットで予約しました(http://www.ktmb.com.my/ )。
 なお、当時乗ったEkspres Langkawi(8列車)は、現在はバターワースを経由しません。バターワース(つまりペナン島方面行)へは、別の夜行列車を利用することになります(バターワース終着)。



タイ国鉄もインターネット予約可能

 バターワース・バンコク間の列車はタイ国鉄所管となり、KTMでは予約できません。旅行当時(2007年)当時はタイ国鉄はネット予約ができませんでした。当時有名だったのは「プログラムD」というタイの旅行代理店で発券・発送してもらう方法でした。http://www.pdi.co.th/ticket.html 手数料も良心的で、クレジット決済も可能で、日本への発送もしてもらえました。日本人がいて、国際電話しても日本語で対応していただきました。
 しかし、現在は、ネットでタイ国鉄にダイレクトで予約・発券(eチケット)ができます。http://www.thairailticket.com/esrt/ 詳しい解説が書いてあるサイトは http://spngbb.blog.fc2.com/blog-entry-122.html にありました(このサイトは筆者自身がたまたま見つけただけなので、保証はしかねます)。

Tips

KLセントラル駅にはシャワールームがある

 上記記事で気づかれたかもしれませんが、この旅行中、宿には1泊もしませんでした。
 ホテル代わりの寝台車があるので眠るのは容易ですが、シャワーを浴びることができません。ネットをみると、ありました。KLセントラル駅にシャワールームが。Level1(2階)にあり、料金は当時5RMでした。シャワーを浴びてすっきりして列車に乗り込みました。近くには祈りの部屋もあります。

  

都市鉄道

シンガポール

 MRT(Mass Rapid Transit)早く言うとシンガポールの地下鉄。これがないと、シンガポールの観光はできないと言っても、過言ではありません。
 

クアラルンプール

 近郊鉄道(KTMコミューター)のほか、RAPIDKL、空港への特急(KLIAエクスプレス)などがある。

ペナン島


 ペナンヒルを上るケーブルカーがある。訪問した時期は工事中で、中腹までしか行けなかった。頭上の架線(電話線?)を見ると、サルが渡っている。監視のオヤジは新聞を読んでいる。運転の必要はないのはわかるが…
 

バンコク

 BTSと言われる鉄道を利用すると、渋滞知らずで快適。それにしても、車体側面すべてを広告に活用しており、窓から外が見えにくいことったらありゃしない。駅に入るには荷物検査を受ける。でも、ゆる〜いチェックで、そこは、アジア。

 

脱線閑話休題

東南アジアの奇妙なサービス意識


 東南アジアに旅行したことのある方なら、必ず経験するのは「冷房ガンガンサービス」です。
 日本人なら「ほどほどの涼しさ」がサービスと考えますが、「彼らは適当な(適切な)温度感覚がないのか」とぼやきたくなります。
 そこで、上等の列車(室)に乗る際は、防寒の服が必須です。私自身、必ず防寒用に、スウェット上下を持っていきます。
(写真はバターワース⇒バンコクの36急行列車)

最初の乗車エピソード

 実はシンガー・KL間は前年の2006年に走破しているはずでした。家族でシンガポール旅行をして、その間に走破を企てました。@妻や子供と夕食A妻と子供をホテルに送り、一人、タンジョンパガーへB今回と同じ列車に乗るCKLセントラルに着くや否やKLIAエクスプレスに乗り、KLIA(クアラルンプール国際空港)へDシャトル便(当時はエアアジアがなく、マレーシア航空もしくはSQで空きがあるとすぐに安く乗れた)でとんぼ返りE妻と子供はホテルの朝食後、ホテルのプールで遊ぶF昼食時に合流 という、ばかげたたくらみでした。

 結論を言うと、Bの途中、ゲマス・タンピン間が工事で不通となり、その間はバス移動となったのです。夜中に起こされ、バッグを抱えてわけのわからぬままにバスに乗せられ、真っ暗の中をバスで移動し、タンピンで待機している別の列車に乗り込むという、ツイテない行程を取らざるをえず、再度チャレンジとなった次第。(写真はKL)

最大の課題、それはデジカメの充電

 ホテルに泊まらないことの最大の懸念は、デジカメの充電ができないことでした。日中に公共スペースのコンセントを拝借する手もあったのですが、その時間も惜しい(その場を離れるわけにもいかない)。バターワースを発った時点で既にインディケーターが下がっていた。
 旅行前からの懸念だったので、考えたのは、某日本のクレジットカード会社のバンコク支店に預けることでした。バンコク・ファランポーン駅に到着すると、すぐさま某カード会社のバンコク支店へ。事情を話し、充電をさせてもらっている2時間弱、近所の街中散策と昼食で過ごしました。
                                                          Trainsへ(Index)

ナビゲーション