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鉄道小バザール










「鉄道小バザール」とは、サラリーマンによる海外乗り鉄ちゃんの記録集です。


世界一の高所を通る青蔵(青海・チベット)鉄道に、個人手配でトライしました。
初掲載:2012年12月 Last Update2013年6月



 西寧 14:56  ラサ 翌15:48  K9801次快速 軟臥  810元
1元=13.08円(当時のレート)   


高地順応のため西寧で1泊


 前夜のCZ6882便で西寧に到着した。西寧から鉄道に乗る計画だが、ここで1泊したのは高地順応を考えてのこと。すでに標高2275m。青蔵鉄道では途中で5000mを超える場所を通過し、到着後4日間.過ごすラサは3600mを超える。いわゆる高山病に気をつけなくてはならない。その意味では、気休めではあるものの、成都より標高の高い西寧で過ごしたほうが理にかなっています。 (左写真は郊外にあるタール寺)
  

西寧駅へ向かう


 翌日、タクシーで街の中心地から少し北東にはずれたところにある駅へと向かう。どれだけ中身をチェックしているか、いつも不思議に思うX線検査機にリュックを通す。何か担当者がわめいていたが、中国語がわからないふりをして(実際、わからないが)やり過ごす。
 相変わらず不必要にコンコースの天井が高い。これまたいつも思うことだが、ある意味、贅沢なつくりだ。一般待合室の出店で、よく、チベットの旅行のサイトに載っている高山病予防の紅景天という薬をお守り代わりに買い、軟席用の待合室を捜し、本を読んでまったりとした時間を過ごす。
201212月現在、西寧駅は工事中。西寧西駅から出発しています)。

東風4型重連で列車登場

20分ほどすると列車が入ってきた。軟席用の待合室の外は、そこがプラットホームなのであわてることなく歩を進める。列車に向かう人波は大きなズタ袋を抱えた家族連れが多い。 車両は25T型で青蔵鉄道専用車両。同じ緑皮カラーでも、ドアの形状や屋根部分で他の25Tとの違いは容易にわかる。

長距離はやっぱり軟臥


 11号車の軟臥(一等寝台)に乗り込む。もう若くないのと、ほぼ1日乗ることを考え、軟臥・下段にした。日中、下段に座られる人数が少なく(硬臥は3段、軟臥は2段)、昼でもごろ寝ができる可能性が高いからだ。
 乗り込んでみると、11号車は私以外の全員が日本の旅行会社の団体ツアーで、日本人の貸切状態となった。気は楽になった反面、それじゃ、あんまりという複雑な心境だ。1456分、定刻に出発した。


青海湖畔をスムーズに走行

 K9801次は最近(当時)運航開始された列車で、他のラサ行きとは運行時間が数時間異なる(西寧出発が6時間程度早い)ため、まさにスカイブルーの青海湖を眺めることができた(そのかわりココシリと言われる地域は未明通過のため、ほとんど見えない)。
 すでに3000mに達している。日本から持ってきたお菓子の袋がパンパンに張っている。気圧が下がった証拠だ。通路の電光掲示板を見ると時速111kmを表示していた。



食堂車に行こう

 夕暮れの荒野を順調に進む。時計を見ると午後7時過ぎ。ご存知の方も多いと思いますが、中国は北京時間しかありません(公式には)。ここらあたりだと本当は2時間遅い午後5時を過ぎたあたりだろうか。
 お腹もすいたので食堂車へ向かう。青蔵鉄道は他の中国の列車と違ってコークスで調理せず、IHで調理するらしい。ところで、私見ですが、日本で食べる中華料理と中国で食べる中華料理(!)の違いは、「ニンニクの芽」の有無(および量)と考えます。その意味では、今回食べた回鍋肉はニンニクの芽がふんだんに入っており、少し高かったがライス・スープ代込みで43元は合格と言えましょう。




12時過ぎにゴルムドに到着

    
 夕食後一眠りして、ふと目が覚めると、駅に着いた様子。時計を見ると夜中の12時20分。ゴルムドに到着したらしい。ホームに降りて煙草を一服した。
 人民解放軍の若い兄ちゃんが多数乗り込む。これからチベットの警備に赴くのだろうか。硬座車を覗き込むと、多数の乗り換えがあり、車内がごった返している。ゴルムドまでは以前から開通していたので、ここからが青蔵鉄道の新線区間だ。チベット用の機関車に交換しているはずだが、見に行くこともせずに車両に戻る。

早朝のタングラ峠越え

 また寝台に潜り込み、眠る。2・3時間ごとに目が覚め、また眠る。カーテンを開けると星がきれいだ。今はココシリ高原だろうか。
 7時20分過ぎにタングラ(峠)越えがあるはずなので、コンパートメントを出て通路側の窓にへばりつく。前述のとおり、感覚では午前5時過ぎとなるため、まだ外は薄暗く、景色はかすかに見える程度だ。沱沱河(トトホー・長江源流)の幻想的な風景が車窓に広がる。車内の電光掲示板は4900mを超えた。スピードは95km、外気温はマイナス11度と指している。
ついにタングラ駅に到着。しかし…

 なぜか5073mの電光掲示板の表示が出た。誤差の範囲か。世界最高所を通過した。オベリスク(記念碑)は見つけ損ねた。
 タングラ(唐古拉)駅は、なんと通過。最高所をとおった感慨など、微塵も感じさせない、あっけないものとなった。

  

ヤクの群れを見ながら車内販売の朝食(10)を摂る。838安多(アムド)到着。しかし、下車できず。 

      
 酸素吸入口が各ベッドにある。アダプター(?)を車掌にもらい、話のネタに体験。格別楽になったわけではないが、シューシューと酸素(空気?)が鼻に入ってきてくすぐったい。
 また、各ベッドの足元にはモニター画面があった。全く利用せず。そりゃそうでしょう、車窓に格別のパノラマが展開されているんですから。


 ツォナ湖の湖面がまぶしい。背後の荒涼な山々と美しいコントラストを奏でていた。
 那曲(ナチュ)に1003到着。ホームに降りて駅名表示と記念撮影&喫煙タイムとする。空はまさにチベタンブルー。駅前には少しだが集落がある。実はこの列車は禁煙なのだが、硬座車両の出入口に吸殻がいっぱい落ちており、それに乗じて隠れタバコを2度ほどした。高校生みたいだ。



線路わきの道路に五体投地する人々を発見。これで数日・数十日かけてラサに向かうのだろうか。


 当雄(ダムション)1318着。右手に7000m級のニェンチンタングラ山脈を望み、高度を下げていく。昼も車内販売の弁当を食べた(20元)。きゅうりの油いためはことのほかおいしかった。



ついに、ラサ到着


ラサの街に入る。キチュ河が見えた。遠方にはポタラ宮も。1548、ほぼ定刻どおりにラサ駅到着。


噂通りに馬鹿でかい駅だ。チベット建築様式なのか、独特のデザインだ。ポタラ宮を模したのかもしれない。不自然に大きく、そして不自然に整然としている。
  
        
 ラサはパーミッションの関係で個人旅行でもガイドを雇わなくてはならない。
 車中で旅行会社から電話があり、デジ(得吉)さんという女性が迎えに来ると聞いていたが、なかなか会えず、少し焦った。無人の駅前広場でうろうろしていると、パトロールの公安が近づいてくる。こっちへ来いと言っているようだ。事情を拙い英語でまくしたてた。面倒そうな態度を見せたのでうまい具合に追い払った。
 しばらくしてようやくガイドと会え、とりあえず一件落着。


How To Get Tickets

チベット入境にはパーミッションが必要。旅行会社での手配を


 現在、中国は15日以内の観光ならビザが不要だが、チベット入境に際し、パーミッション(許可証)が必要となる。

 その関係で個人旅行とはいえ、旅行代理店のお世話になった。サラリーマントラベラーの宿命として、スケジュールの確定は譲れない大きな要素だ。特に一生に一度しか行けない(行かない?)チベットはなおのこと。中国旅行の際に何度か利用したアクロストラベルにお世話になった。

旅行代理店をとおした個人手配はどんぶり勘定


 上記代理店が悪いわけではないが、中国旅行で旅行代理店に個人手配をした場合、明細はあってないようなものと割り切るしかない。

 推測ですが、「現地の旅行代理店」経由「中国の大きな旅行代理店」経由で手配するため、ピンハネが3回発生する。ラサの場合はある程度パッケージされていることもあり、最初に相談に訪れた際、大体の値段を教えてもらえただけでも良心的とさえ言える。
 
以前、別の中国旅行を別の代理店に個人手配した際、もっとぼったくられた。
Tips

青海・チベット鉄道とは?


 20051015日にゴルムド・ラサ間1142キロが開通し、2006年7月から客車運行の試運転が始まった(実質開業)。ゴルムドまでは1980年代に既に開通。
 北京・上海・成都・広州からも列車が出ているが、全列車が西寧を経由する。

 いくつかの世界一があるといわれている。@世界最高所の高原凍土トンネル(風火山トンネル:長さ1386m・海抜4905m)A世界最長の高原凍土トンネル(崑崙山トンネル:長さ1686m・海抜4600m)B世界最高の駅(タングラ駅:海抜5068m)C鉄道世界最高所(タングラ峠:海抜5072m)・・・

脱線閑話休題

ラサのホテルは西蔵剛堅拉薩飯店がお勧め

 前述のどんぶり勘定を逆手にとって、逆にホテルと部屋を指定した。「安いホテルをお願いしてもピンハネ率が上げるだけ」と踏んだからだ。旧市街でポタラ宮が窓から見えるホテルを指定した。西蔵剛堅拉薩飯店(Lhasa Gang-gyuan Hotel Tibet)で、窓から本当にポタラ宮が見える。
 夜になるとライトアップされたポタラ宮が浮かび上がってくる。このホテルでも窓からポタラ宮が見える部屋は1・2部屋しかなく、双観房と言われているらしい(ホテルパンフによる)。バルコル(八角街)へも徒歩5〜10分程度で、夜も、朝も散歩感覚で訪れることができた。

ラサの街に変な期待をかけすぎないように。


  思った以上に中国化している。市街が広がっていることもあり、新市街は他の中国の大都市と変わらない。

 

ラサは電動バイクが縦横無尽に走る


 電動バイクは曲者。何故かというと、「音がしない」。バルコル周辺の人ごみの中でも平気で走っている。ぶつかりそうになることが何度かあった。
 背後から荷物をひったくりすることがが簡単にできそうだと、よからぬことを考えるほどだ。


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