鉄道小バザールとは、サラリーマンによる海外乗り鉄っちゃんの記録集です。
YOGYAKARTA 4/15 08:56 | GAMBIR 16:30 | ARGO LAWU (Train no.7) EKS-1/1A | 357,000IDR |
1IDR(インドネシアルピー)=0.011JPY(当時のクレジットカードレート) |
ベチャに乗ってトゥグ駅へ
7時45分にホテルをチェックアウトしてベチャ(自転車タクシー)で駅へ向かう。
前日のクラトン(王宮)行きと比較すると割高だが、日本人には電車の初乗り以下の額なので、リュックを背負うことを考えるとあまり交渉せず乗り込む。
ベチャは前方に座る形になるので日常より目線が低く視界も開けているので、なかなか楽しい。10分足らずでジョグジャカルタ(通称ジョグジャ)中心駅のトゥグ駅に到着。繁華街のマリオボロ通りから遠いほうの北口が正面となる。駅舎はシンガポール・タンジョンパガー駅(現在は廃止)を2回り小さくした感じで、ひっそりとしている。
トゥグ駅散歩、そしてARGO LAWU到着
入ってすぐに列車毎のチケット残数がモニター表示されていた。これから乗車のARGO LAWU(アルゴ・ラウ)号は、残数6とのこと。改札を済ませ、プラットホームをぶらぶらして列車を待つ。しばらくしてソロ(スラカルタ)始発のARGO LAWUがディーゼル機関車に牽引されてやってきた。
8時56分出発
ARGO LAWU とは「ラウ山」の意味。思った以上に高速で驚いた。平地では水田を左右に見ながら、おそらく100q/h近くは出ている。夜行にも使われるからか、座席もリクライニング角度がかなりあり、快適。
エクセフティフ(エクゼクティブ)車両と言われ、日本の列車のレベルに例えると、普通席とグリーン車の中間か。ただ、線路のバラスト(砂利)飛散の影響か、窓ガラスの割れているところが何箇所かあった。
恒例の車両探検
モノクラス編成だが、前述のとおり、エクセフティフ車両。各車両の端にモニターが設置され、さながら京阪のテレビカー(2013年3月廃止)のようだ。食堂車も連結されている。各座席に食事の注文を受けて調理するほか、コーヒーを飲んだりすることもできそうだ。
アルゴ・ラウ号はジャワ島中部を横断するとともに、ジャワ島を南北に縦断する形になる。9時45分にクロヤ駅を通過して、ジャワ島縦断へと進路を北西に変える。
11時12分にプルワケルト駅到着。ジョグジャ出発後、最初の停車駅だ。ドア付近で大きながなり声が聞こえる。物売りのようだ。彼らは車内には入れないらしい。声を張り上げ、ナシゴレン(焼き飯)をアピールしている。
出発後、少しずつ高度を上げる。さすがにスピードは落ちるものの、ジャングルと棚田が交互にあらわれ、ときおり線路と川が交差する。至福の車窓観光のひとときを過ごしました。
隣席の女性は英語が話せ、お勧めの車内食を注文してくれた。ジョグジャ名物のオックステールスープだ。肉も軟らかく、スープも薄味で美味。ライスと一緒に食す。少し高めだったが、良しとしよう。
1時間ほど山道(?)を登り、心なしか下っていく感覚をもった。どうやら峠を越えたようだ。そのはず、先ほどまで見えていた棚田の上る方角が変わった。ときおり人家の集落が見える。赤道近くからなのか、テレビのパラボラアンテナがほぼ真上を向いている。
平地を快走、しかしその風景は・・・
車窓の風景もガラッと変わり、視界が開け、列車もスピードを上げてきた。民家も多く見えるようになってきた。しかし、川岸や民家の周りはゴミが多くなり、あまりいい風景ではない。13時35分、途中駅最大の街チルボンに到着。
16:30ガンビール駅到着
16時08分ジャティネガラ駅に到着。半数以上の乗客がここで降りる。ジャカルタ市内に入ったようだ。日本の中古電車とすれ違う。ODAによるものと聞いていたが、かなり活躍している様子がうかがえる。
大きなカーブを曲がり終えると左手にモナス(国家独立記念塔)が見えてきた。京都タワーに似ている。長距離列車の終着点であるGambir(ガンビール)駅に定刻で到着。7時間30分の旅を終える。
ネットでアンテナをずっと張り巡らしていると、可能になったとの情報をキャッチして、トライしたところ、うまくいきました。 https://tiket.kereta-api.co.id/
わからない単語はカーソルでなぞって右クリック(Bingで翻訳)をすればほとんど解決。クレジットカード払いで決済すれば、即PDFでe-チケット(左写真)が送信されてきます。
駅のチケット売り場でe-チケットを渡すと乗車券を発券してもらえます(下写真)。
インドネシア優等列車は、区間が短くても全区間の座席を確保するようになっており、短距離乗車の場合は列車を慎重に選ばないと割高になってしまいます。
ジャカルタは東南アジア最大の都市で、自動車での移動は渋滞に巻き込まれること必至です(ちなみに日本車ばかりで、日本以外で日本車を一番みられる国がインドネシアではないでしょうか)。
効率よく市内を巡るには「トランスジョグジャ」と言われるバスを活用するに限ります。専用レーンを走り、渋滞に巻き込まれるリスクが少なくなります。しかも、ジャンクションでの乗り換えは自由。便利・安価・容易の3拍子揃っています。
バス停(バス駅といったほうがふさわしい)で地図を入手して乗りつくしましょう。ちなみに、1回乗車は3,500IDR(約35円)で、朝は2,000IDRです。
多くの男性がリュックを肩にかけず前かけにしていたのが印象的。これは他人に迷惑をかけないためか、スリ対策なのかは、不明です。
ジャカルタ近郊電車で日本のセカンドライフトレインに乗る
ARGO RAWU乗車の翌日、ジャカルタ近郊の電車(JABODETABEK)にトライしました。噂の乗車率700%の朝ラッシュ光景は見ずじまいだったが、モナス・ファタヒラ広場観光後の昼に、近郊電車始発駅のKOTA(コタ)駅に向かう。コンコース部分は屋根が高く、趣のあるいい駅舎だ。
1500IDR(15円)のチケットを買い、しばらく待っていると、東京メトロで活躍した05系電車がやってきた。表示を見ると「快速・高田馬場行」となっている。日本語表記を残しているのは、「舶来品」をアピールしたいからだろうか。
冷房もあり、車内は至って快適で、日本の電車と変わらない(当たり前か)。車内の表示も日本のものが残っている。プラットホームが低床なので、何か所かは階段がついているが、ないところもある。子供たちはうれしがって飛び乗ったり、飛び降りたりしている。笑ってしまったのは、駅到着のたび、東西線と同様、扉の開け閉めの際にチャイム音がなることだった。
<追伸(2013年7月27日>
帰国後、下川裕治著「不思議列車がアジアを走る(双葉文庫)」を読んでいると、コミューターと呼ばれるものに乗っていることがわかりました。実は、写真にあるような1500IDRのEkonomiと言われるチケットで乗ってはいけないらしい。Ekonomiは冷房なし車両とのことです。今後行かれる方は、ご注意ください。
ジョグジャ観光は「ホテルマノハラ」と「フェニックスホテル」がお勧め
ジョグジャ訪問の最大の目的はボロボドゥール観光のための方がほとんどのはず。それなら、ホテルマノハラhttp://manoharaborobudur.com/ に泊まりサンライズツアーに参加するのがベストでしょう。
このホテルはボロブドゥール遺跡と同敷地内にあり、朝4時30分出発のサインライズツアー集合地(マノハラホテルが主催)にもなっています。でもモーニングコールはあてにしないように。ツアー受付でそれどころではないでしょうから。
このホテルに泊まり、夕暮れ時に散歩していると、月明かりに照らされたボロブドゥールを見ながらスピーカーから流れるアザーンに包まれる幻想的な世界に浸れたのは、この旅の掘り出し物でした。
理由は「安くクラシックホテルに泊まれる」こと。コロニアル形式で1万円を下回るのはそうそうない。
奥のプールビューの部屋をホテルサイトでリクエストしました。部屋のベランダからプールが見下ろせます。市内観光で汗をかけばプールでクールダウン。おっさん一人旅ながら、なかなかおしゃれでしょ。