「鉄道小バザール」とは、サラリーマンによる海外乗り鉄っちゃんの記録集です。
「世界的にも珍しい『バンブートレイン』がもうすぐなくなる」という噂が聞こえてきたので、カンボジアを訪れました。再開した正規の鉄道にも乗車。ついでにアンコールワット観光もしました!?
オゥドゥボン村 | オースロラウ村 | 10q | 10USD(往復) |
シアヌークビル(Shihanoukville) | プノンペン(Phonm Penh) | 263q | 7USD |
1USD= 107円 1リエル=0.026円(当時のレート) |
ミニバスでシェムリアップからバッタンバンへ
アンコールワット観光の翌日、午前7時30分過ぎにホテルを出て、「メコンバス」というバス会社の事務所に向かいます。たかが7・8ドルのカンボジアのバスが、日本からネットで予約できるなんて、時代の成せる技としかいいようがありません。簡単な英語のホームページなので、それほど苦にはなりません。
日本でプリントアウトしていたバウチャーをチケットに交換してもらい、8時を少し過ぎたところでバスが出発。ミニバス25人乗りのようですが、乗車しているのは10人ほど。普通のバスより高いので満席にはならないと思ってはいたが、予約しなくても十分乗れました。道路は舗装されており、エアコンも効いていることもあり、快適なドライブです。
シソポンという分岐点の街を9時45分に到着し、トイレ休憩。シソポンからは少し舗装が悪くなったものの、11時25分にバッタンバンに到着しました。
戻りのバスは14時発なので、時間の余裕は、あまりありません。ミニバスを降りると、宿やタクシー、トゥクトゥクの客引きの兄ちゃんが押し寄せてきます。気のないそぶりをしつつ、粘ってきたトゥクトゥク運転手と交渉して、往復5ドルで手を打つ。17・8分でノーリー乗り場に到着した。ちなみに右の写真はペットボトルに入ったガソリン。つまり、ガソリンスタンド。
本物の警察官が乗り場窓口嬢!?
バンブートレインを現地ではノーリー(Norry)と言います。トゥクトゥクの運転手を待たせ、線路際に進みます。目の前に、いかだのようなノーリーが幾つも並ぶ。
その前に警官が立ちはだかった。「ようこそ。片道か往復か」と聞いてくる。往復だと答えると10ドルと言ってきた。彼は警官なのか、美人局なのか理解に苦しむが、用心棒と小遣い稼ぎの、双方の利害が一致した現場の知恵なのかもしれません。こちらも特に不服もなく、それに従うことにしました。
その背後で、地元のおばさんが「戻ってきたら運転手にチップをお願いします」とわかりやすい英語で丁寧に話しかけてくる。息もぴったりだと、妙に感心してしまった。
乗り心地はガタついたジェットコースター
ノーリーは1グループ1台あてがわれます。私のノーリーの運転手は40歳ぐらいのちょっとぽっちゃりの女性だった。運転といっても、レバーを操作するだけ。乗り心地はガタついたジェットコースターといった感じです。
竹で編まれた床の上にクッションを敷き、その上に座ります。視線が低いので体感速度はかなりのもの。線路のメンテナンスが悪く、というかメンテナンスを一切していないので、くねくね具合がダイレクトに伝わり、思わず、にやけてしまう。
ノーリーのハイライト、それは…
列車は一時的に複線状態でないと上りと下りは行き来できません。しかし、このノーリーは単線上で行き来します。乗車している人数が多いほうが優先され、人数の少ないノーリーは「エンジンを外し」、「床を外し」、「車輪を外し」、「人数の多いノーリーを通し」、「車輪を付け直し」、「床を付け直し」、「エンジンを付け直し」、ようやく再出発します。
私は一人なので当然、全部負ける。でも、外す作業中に相手側のノーリーの列が詰まってくるので、一気に「抜かれる」形になります。相手はニコニコして走り去る。これも一興。待っている間に小さな石を拾い、土産にすることにしよう。再び走り出すと、通り過ぎる風が心地よく、20分ほどで終点に到着しました。
復路はノンストップで
およそ20分、終点で休憩。小さなおんぼろの店で土産を買う気も起きず、周りを少し散歩してお茶を濁す。
床を前後ひっくり返し、エンジンを付け替えて出発。路面の状態をお尻にダイレクトに感じ、風を感じ、童心に帰って突き進む。12時40分、ノンストップの14分で戻ってきました。
帰りもメコンバスで
待たせていたトゥクトゥクに乗り込み、バス事務所に戻ります。スムーズに事が進み、街のマーケットを散歩する余裕もできた。軽く昼食をとり、14時発のミニバスに乗り、17時6分、シェムリアップに戻りました。
本物の鉄道が再開される
バンブートレインの情報を得ようとインターネットをチェックしていると、4月からシアヌークビルとプノンペンの間の鉄道が再開されたという情報を見つけました。
せっかくカンボジアに行くのだから「乗らない」という選択肢はありません。日程を考えると、アンコールワット観光を2日削るという暴挙でクリアできそうです。
一気にシアヌークビルへ
ノーリーに乗った翌朝(11月25日)10時にホテルをチェックアウト。トゥクトゥクに乗り、空港に向かう。飛行機は久々のATR72というプロペラ機でした。1日に1便しかないシアヌークビル直行便(アンコールエア・K6/133便)に乗りました。トンレサップ湖をあっという間に飛び越える。眼下にはジャングルが見えます。まだ地雷が残っているだろうなと、少し感傷的になりながら、シアヌークビルに10時50分に到着しました。
散歩がてらにチケット購入
乗合タクシーで海岸近くの宿に到着し、ひと休憩して、下見を兼ねて、チケット購入のため、トゥクトゥクで駅へ向かいました。アップダウンを繰り返した後、眼下に海と駅が見えてきた。駅はかなり大きそうですが、幹線道路から離れて駅に向かう道はデコボコで、トゥクトゥクがかなり揺れる。
駅に到着してトゥクトゥクを少し待たせ、チケット売り場に向かいましたが、そこには机とイスがあるだけ。若い女の子がチケットを販売していました。まるで面接を受けている感じでした。
難なく手に入れ、駅舎を少しぶらつく。元々はターミナル駅だったであろう、かなり規模が大きい。しかし、荒れ果てたその姿は、内戦の暗い影を落としている。またしても少し感傷的になりつつ、トゥクトゥクでホテルに戻る。気分を変えて、ビーチに繰り出そう。
早起きして駅へ
11月26日(土)早朝に宿をチェックアウトしてトゥクトゥクで駅へ。乗客向け車両は2両だが、機関車と貨物車両2両で5両編成だ。乗客はおよそ7割が外国人。バスだと4・5時間で到着する行程を倍近くの時間をかけて走る。移動のためにこの列車を利用する人は、あまりいないだろう。
ほぼ定刻の7時3分に出発。しばらくすると左手に海が見えてきた。車両には扇風機とエアコンを併用しているが、なんとルームエアコンが車両の両端に設置されている。両端部は涼しい、というか少し寒いが、真ん中あたりは少し暑いというアンバランスに苦笑せざるをえません。
8時20分、引き込み線に入り、シアヌークビル方面行きの貨物列車とすれ違う。貨物列車が通り過ぎた後、逆走して本線に戻り、プノンペンに向かいます。
9時20分、カンポット(Kampot)駅に到着。週に3往復しかないが、出店が幾つか立っている。彼女たちにとっては、貴重な現金(外貨)収入の機会になる。マンゴーがあったので買う。1USDとのこと。ボッタくっているのは明らかだが、まぁ、話のネタとして素直に従うことにしよう。完熟には程遠いが、甘酸っぱい感じは悪くない。静かに列車が出発しました。
景色はのどかな田園風景だが、いたって単調。夢うつつの状態が続く。11時40分タケオ(Takeo)着。ホームに降りて軽く体操をして体をほぐす。そして煙草。パンフレットがあったので貰うと、14時にはプノンペンに着くらしい。インターネットで調べた8時間の行程が7時間にスピードアップ(?)したようです。
単調な景色が続くが、そこそこのスピードは出ている。240qで途中2駅しかないので、採算は厳しそうです。しかし、線路状態はそれほど悪くはないので、もっとスピードアップを図ることができれば、アピールできるかもしれない。
人家が増えてきた。プノンペンに近づいているのだろう。しかし、それはゴミが目立ってきたことを意味します。ジャカルタでもそうだったが、東南アジア大都会の共通の悩みのような気がします。
急にノロノロ運転になってきた。廃車両が右側に見えてきた。その姿が痛々しい。クメールルージュによる内戦の暗い影がこんなところにも垣間見えるというのは言い過ぎだろうか。タケオで入手した時刻表よりも更に22分早く、13時38分、プノンペン(Phnom
Penh)駅に到着しました。
駅舎はシアヌークビルと同様、がらんどう。駅舎を出ると成長著しい大都会の自動車の喧騒が耳に響きます。
E-Bookingのページもあるが… 私は前日に駅で直接切符を購入しましたが、今ではホームページにE-Bookingのページもあるようです。リアルタイムで予約が完結するかどうかは不明です(経験された方は教えてください)。 また、旅行当時は週3往復しかありませんでしたが、2018年2月現在では、ホームページによると週4往復運転しているようです。 http://royal-railway.com/ |
CAMBODIA'S
FAMOUS BAMBOO TRAIN
http://www.bambootrain.com/
英語によるサイトですが、行き方の地図からTipsまで幅広く記載されています。