鉄道小バザール
2021年12月に中国・昆明とラオス・ビエンチャンを結ぶラオス中国鉄道(LCR)が開通しました。習近平の一帯一路政策の一翼を担う路線です。中国との旅客直通運転が行われていないうちに乗車体験をしてしまおうと乗り込みました。 ついでに(?)タイ・東北線と、市場で有名なメー・クローン線も走破しました。
初掲載:2023年5月 Last Update:2023年5月
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トゥクトゥクで駅へ。それにしても遠い…
前日夜に手元に届いたチケットを携え、ナップザックの軽装でルアンパバーンの宿を8時少し前に出ました。せっかくラオス中国鉄道(以下LCRと略)に乗りにきたのだから乗車距離を稼ごうと、日帰りでルアンパバーン・ムアンサイ間を往復しようと考えました。片道101㎞の道のりです。
トゥクトゥクに声をかけると、ワンハンドレッドフィフティー、つまり15万キープ(1,160JPY)とのこと。1,000の位以下は無視した会話になります。少し交渉したものの値段は変わらず、妥協することに。ところが、ドライバーは自分が運転するのではなく、どこかに電話。しばらくして別のトゥクトゥクがやってきた。特に異論があるわけもなく、乗り込みます。
朝で、そこそこスピードを出して進むため、肌寒く感じました。途中、ガソリンを補給し再スタート。30分近くかかって8時30分、ルアンパバーン駅に到着。それにしても、駅が空港より遠いって、どういうこと?と、愚痴りたくなります。
意味もなくでかいルアンパバーン駅
ネットの写真では見ていたが、でかい。街からの距離といい、「中国主導で作ってしまうとこうなる」という典型です。山型の線対称の駅舎。向かって右側には予約の切符売り場があり、何十人も並んでいる。駅舎を背後にして正面に立つと、「施設が何も見えない」。十年経っても何も変わらないんじゃないだろうか、と、心配してしまう。
中国の駅と同様、X線検査がありました。混んでいないので、ボディーチェックもしっかりされました。解放されると、がらーんとした広い空間へ。真ん中にロープパーティションが敷かれています。というのも、乗車予定の1時間30分後に出発するK12列車の待合スペースと区分けされているのでした。だから入口も左右に分かれていたんだ。
まずはトイレを訪問。清潔に保たれていました。トイレの横にある給水機は温水しかないようでした。中国と同じシステムの1等(軟座)待合室もあったが、2等の身には関係ないか・・・。あとは、椅子がズドーンと何の芸もなく並ぶ。後は何もない。店も何もない。だからすることもない。持参した村上春樹の「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読むしかない。
これだけ広くて店が何もない 真ん中にロープパーテーション
出発20分前に形ばかりの改札を済ませ、ホームに入りました。「もっと早めにホームに入れてくれてもいいのに」と思いましたが、いざ、その身になると、20分前で充分かも。というのも、列車が来ていなければホームに入っても、何もすることがないから。
乗降口からかなり奥まったところに並ばされます。モノは考えようで、列車がやってきたとき、全体の姿をよく見ることができます。中国の人が観光で数多く来ており、ホームでは中国語が行き交います。
右側遠方から列車がやってきた。中国製CR200J型の、動力集中型と呼ばれる「電車」です。最後尾が電気機関車(つまり、客席がない)で、パンタグラフがそこしかありません。いわば「押して車両が動く」ような形になります。この特急はランサン(瀾滄
ランサン号の電気機関車部分
駅員の仕切りで、降りてくる人を待ち、その後、乗り込む。ごった返すものの、指定されている席は3号車の01A、つまり端の窓際の席なので、すぐに見つけることができた。窓は端なので小さいが、良しとしよう。まだ、立って自分の席を探す人がいる中、静かに出発しました。
観光地だけあってごった返す
意外に快調!?
前日にスローボート(後述)から見上げた橋の上を通ります。単線なので、橋の上は両側の景色がよく見える。とても快調。LCRは中国雲南省の昆明とラオス・ビエンチャンを結ぶ路線なので、山岳路線の趣があり、半分以上がトンネルといった感じでした。
新幹線の普通席といった感じ メコン川を越える
山・トンネル・山・トンネル…
ムアンサイの街を少しばかり散策し、徒歩で駅に戻ることにしました。地元の市場を覗くと、狭いケージに鶏が数多く押し込められていたり、豚の顔がドンと鎮座していたりと、アジア感・ワイルド感をまともに食らい、思わずにやけてしまいます。
市場の前はアジアを感じさせるゆるさ ブタさんは何でもいただける
ムアンサイ駅舎はルアンパバーン駅舎よりは少し小さいものの、同じような線対称の形状をしています。駅前にテント張りの小さな店が唯一買い物ができるところ。ちょっと覗いたが、買う気にはなれませんでした。X線検査を受けて駅舎内に入ります。
ムアンサイ駅まで歩く。右の電気自動車で往路は街まで出た ムアンサイ駅構内はルアンパバーンより直線的
構内に放送が入り、正面に列を作ります。往路よりラオス人の割合が多いようです。出発20分前の14時35分、ゲートが開き、ホームに向かいました。ホームの一角に、たばこを吸っている人たちがいる。そこに向かい、足下を見ると吸い殻が数多く落ちている。駅舎内は当然禁煙だし、車中も禁煙。気持ちはよくわかる。よ~くわかるから、私も一服することにしよう…?
今度乗るのは各駅停車で客車になる。機関車の前照灯がだんだん大きくなってきた。和諧型電気機関車と25Zの緑皮車、もろ中国じゃん。
和諧型電気機関車に牽引されてやってきた これ、中国じゃん
駅員がドアにタラップを取り付け、乗降が始まる。切符を見ると2号車の064と記載されている。席を見つけると窓側だった。車両が中国だから座席もまさに中国の硬座で、座席カバーの「LCR」表記を隠せば中国内で走っているのと変わりない。
単線だが、時折上り下りの連絡線はある 中国の新型車両の硬座そのもの
メコン川を2度またぎ、もうすぐルアンパバーンに到着というところで、急停車。動物でもはねたか。時間がかからなければいいが…と思ったが、5分ほどで徐行だけど出発。そのまま駅に滑り込んだ。4分遅れの16時14分にルアンパバーン駅到着。特急電車と同じカラーリングの乗り合いタクシーに乗車(35,000LAK)し、街中に戻ります。
ランサン号と同じカラーリングの乗り合いタクシー
宿を昼前に出てトゥクトゥクを探し、値段交渉。今回は12万LAK(=930JPY)で、2日前より3万LAK安くなった。軽トラの改造で、スピードが出そうだ。安くなったからか、駅構内の駐車場に入る前に降ろされた。そのおかげで、手前のバラックのような商店を覗くことができました。
靴の片側だけを売っていた 乗ってきたトゥクトゥクとルアンパバーン駅舎 駅に入る前にあるバラック商店街?
切符を見ると3号車の4Cとある。3人掛け席の通路側か。まぁ、車内をうろうろしやすくなるので、変化があっていいだろうと都合よく考えることにしました。13時53分、まるで日本の新幹線のこだまに乗っているような感覚でルアンパバーンを出発しました。
今までできなかった車内探検をすることにしよう。障害者向けの大きなトイレもありました。連結部分は垢抜けない蛇腹と不思議な床板。ビュッフェスペースもありましたが、この列車は清涼飲料水しか提供しないようで、電子レンジが意味もなく鎮座していました。
トゥクトゥクで国境の駅へ
30万LAKを23万LAKまで値切り(それでもぼられてる?)、トゥクトゥクに乗り込む。結構なスピードで、快調。この時代、グーグルマップがあるので、正しい方向に進んでいるのか容易にわかるので、助かる。これでも国際列車です
ホームに向かって左が切符売り場で、右が出国審査。まずは切符を20THBで購入。ラオスにいてもタイバーツでしか買えない。実質タイ国鉄だからやむをえないのでしょう。次は出国審査。1万LAKの手数料を払い、パスポートに出国スタンプを押してもらう。出国と言っても駅舎内外を自由に歩き回れる。ゆるい雰囲気が全体を覆います。
こっちが切符売り場 こっちが出国審査
看板を見ると免税店とある。覗いてみると何のことはない、単なる売店に免税品を置いているだけだ。たばこや高めのアルコールを置いているが、売れている感じはない。子供は親にせがんで袋入りお菓子を、大人はビールを買っている。私もジュースを9,000LAK(=70JPY)で購入し、喉を潤すことにしました。
ホームにはすでに車両が待機、というか、1日に2往復しか運行されていないので、置きっぱなしといったほうが正解かも。北側を見ると遠くに車の出国ポイントらしき施設が見える。明らかに中国的趣の施設だ。
ホームでの時間潰しにも飽きたので、列車に乗り込むことにします。ディーゼル機関車と客車2両の短い編成で、最後部に乗り込む。ガラーンとしている。ビエンチャンから直接バスで容易に国境を越えることができるので、鉄道ルートを選択するのは、酔狂な人か海外旅行者しかいないと思われます。5分前の鐘が鳴り、17時30分、国際列車のタイ・ノンカーイ行きが出発しました。
出発してしばらくすると大きく右にカーブして、メコン川に架かる橋にたどり着きます。鉄道と自動車の併用橋で、鉄道が通る際には自動車は通行止めになります。無人の橋を静かに渡ります。ラオスの国旗が続き、やがてタイの国旗に替わります。川を越え終わると車道から大きく左に逸れ、ノン・カーイ駅に到着しました。17時45分、15分の国際列車の旅が終わりました。隣のホームにはこの後乗車する列車が既に到着していました。何はともあれ、入国手続きをしなくては。
ノン・カーイ駅探検
入国審査を終え、ホーム内を意味もなく歩く。トイレがあったので入る。3THB(=12JPY)かかるが、シャワー(10THB)の施設があるとは知らなかった。水シャワーだろうが、夜行列車利用者には重宝するかもしれません。
駅のベンチで本を読んで時間を潰し、車両に乗り込む。既にかなりの人が車中にいました。ベッドメイクも既に済んでいる。13号車両の10番、2等寝台の下段に陣取ります。994THB(=3,800JPY)と、とても安い。644㎞の乗車賃と、日本だと昔の開放型A寝台と遜色のない設備でこの価格は、言うことありません。19時40分、26列車・スペシャルエクスプレス「イサーン・ムッカー号」は定刻通りに出発しました。
車内改札があり、その後、夕食の御用聞きがやってきた。5つの中から選べるとのことで、おすすめのカレー定食を注文しました。
設備等は満点の寝台車ですが、唯一欠点があります。それは冷房が効きすぎて寒いこと。織り込み済みなので、カーテンを閉め、リュックからパンツとトレーナーを取り出し、寒さ対策をとります。
夕食がやってきた。190THBとのことだが、細かいタイバーツがなく、1,000THB紙幣を渡す。手元におつりがないとのことで、戻って用意するとのこと。少し心配になったが、悩んでも仕方ない。カレーの味は、私の口にはあまり合わなかったが、かきこむ。タケノコスープは優しい味でgood。
30分ほどして出前の兄ちゃんが810THBのおつりを持ってきてくれた。最初は800THBしか返そうとしなかったが…、こすっからいぞ。というか、それぐらいは見逃してやったほうが良かったのか…。
カレー定食を食べ終わり、荷物の整理をする。コーンケーンを20分ほど遅れて出発した。シーツにくるまり、眠ることにしよう。
夜中に一度目が覚める。理由は簡単。寒いからです。リュックに100均カイロを入れていたことを思い出し、ゴソゴソ。あった。これで再び起きることがないようにと願いつつ、シャツの胸のところにカイロを貼りました。
新しいバンコク中央駅に到着
5時過ぎに目が覚める。今はどこだろうかと窓から外を見るが、わかるわけがない。グーグルマップによると、アユタヤは過ぎており、遅れは致命的なレベルではないようです。トレーナーを脱ぎ、短パンに履き替える。
しばらくすると、乗務員が器用にシーツと枕を丸め、ベッドをたたみ始める。座席に早変わり。上段の客は既に下車後のようで、1ボックスを独占できます。ドンムアン空港駅に停車後、ラストラン。クルンテープ・アピワット中央駅に20分遅れの6時10分に到着しました。
クルンテープ・アピワット中央駅は、フアランポーン駅の替わりに中央駅の役割を担うようになりました。単に馬鹿でかいだけで、駅の雰囲気はフアランポーンと比べるべくもありませんが、渋滞化対策・高速鉄道を見据えた構想なので、仕方ありません。
トイレでコンタクトレンズを装着し、タイらしくない無機質な駅舎を出て、道路を隔てて何故か脇に残っているバンスージャンクション駅に向かいます。ここは昔ながらのゆるい空気が流れています。こちらからクルンテープ・アピワット中央駅の駅舎全景を眺めつつ、たばこを一服。さぁ、メー・クローン市場に行こう。
ウォンウィエン・ヤイからメー・クローン東線に乗車
乗り継ぎとコインロッカー操作に思いのほか時間がかかり、BTSのウォンウィエン・ヤイ 駅にたどり着いたのが8時16分。結構ギリギリです。道路沿いの商店を脇目に早足で進み、歩道橋を渡ると、商店の中に忽然と切符売り場とオレンジ色のディーゼル列車が現れました。メー・クローン東線のウォンウィエン・ヤイに到着です。
切符は10THB。土曜日ということもあり、混んでいるのではと心配しましたが、1BOXを確保することができました。サイアムのコインロッカーにリュックサックを入れたので、ナップサックに短パンという軽装で列車に乗り込みます。 プラスティックのクロスシートに腰を落ち着ける。まだ、朝食を食べていないので、ホームに連なっている商店を覗きたくなります。でも時間がない。8時35分、列車が出発。沿線の家の軒先にぶつかるような近さで列車は進みます。
しばらくすると沿線の脇には運河が。田園の風景が広がります。のんびり車窓を眺めていると、スピードが落ちてきた。線路脇に品物が陳列される、まるでメー・クローン駅のような光景が広がります。東線の終点、マハー・チャイも市場と駅が混在した駅のようです。トタン葺きのドーム状の駅舎に9時28分到着。あまり時間がないので、駅周辺の探検は帰路に譲り、魚市場街を通り、船着き場に向かいます。
新型コロナのステッカーがヤケに目立つ
マハー・チャイ駅もメー・クローンと同様、市場駅
市場の中に駅舎の正面がある 魚市場を越えて船着き場へと急ぐ
バイクに乗ったまま川を越える 対岸のター・チャロームの港に着岸
薄暗いアーケードを抜けて… 切符を購入
1日4往復のメー・クローン西線
メー・クローン西線は1日4往復しかありません。東線より更にローカル度が増してきます。この沿線の特徴は、エビの養殖池と塩田。エビの養殖池は飛行機に乗っていると空港近郊でよく見かけますが、塩田があるとは。西洋の人々は塩田を観光して、途中の駅から乗り込んでメー・クローン駅を目指すとのこと。
スピードが落ちると、メインイベントのメー・クローン市場にたどり着いた証拠です。線路脇の店はテントを折りたたむ。その中を、ゆっくりとディーゼル列車が徐行。窓の外を見ると、眼下の軒先に人・人・人。人も立てないところは、商品がギリギリのところまで陳列され(残され?)ている。
踏切では皆がスマホ片手に手を振っている。馬鹿な車内の日本の若者が、車外の人々へ「ショーヘー・オータニ」と叫ぶ。丁度開催されていたWBCに感化されたのだろう、同じ日本人として、恥ずかしい…
危ないはずだが面白い! メー・クローン市場に突っ込め!?
ここまで来ると芸術だ よく考えると、単なる踏切でしかないのに…
トタン屋根の駅舎に入ってもこの賑わい メー・クローン駅に到着
終着駅では、列車と車止めを1枚の写真の中に納めるという自分なりの儀式を済ませ、線路上を歩いて市場へと向かいます。すごい人混みで、店の人は土産物をここぞとばかりに売りつける。歩いているところは当然、線路の上。まさにカオス。
折り返しの列車を市場の線路脇から見送るため、ここら辺かな、と、立ち止まる。すると、線路越しの、向かいの店のおばさんが「もうちょっと左へ」とのたまわく。しゃーねーな、と左前方にあった少し奥に入れる空間に引き下がる。おばさんから「ありがとう」といわれてもなぁ、と思ったら、列車がやってきた。おい、おい、結構危なかったじゃないか。おばさんが注意してくれてなければ、アウトだ。おばさん、ありがとう。
次はアム・パワー水上マーケットへと繰り出そうか。
水上マーケットからバイクタクシーで戻る
アム・パワー水上マーケットからヒヤヒヤしながらバイクタクシーで戻ってきた。出発まで5分もないので、切符も買わず、列車に乗り込んだ。車内改札の時に払えばいいだろう。15時30分、出発。
バーン・レーム駅に1時間後の16時30分に到着し、船着き場へと向かう。戻りは少し時間があるので別の道を歩きました。こんなところにも(失礼)寺院があり、生活に密着していることがわかる。それにしてもタイは野良犬が多いなぁ。
バーン・レーム駅の車端部 鳥が干物をついばんでいる
3THB払い、船の到着を待つ。ター・チーン川越しにマハー・チャイの時計塔が見える。船が着くと同時にバイクが上陸してくる。乗客も歩道を上陸。私たちも逆サイドの歩道を降りて乗船。まるで歩く歩道に乗り込む風景のようです。
対岸のマハー・チャイの時計塔を眺める 船が着くとバイクが勢いよく出てくる
少し風に当たり、マハー・チャイに上陸。午前中には時間的に余裕がなかったので魚市場を散策することにしました。エビも大きさや鮮度により、何種類も価格が分かれている。ワタリガニも、イカも所狭しと陳列されている。干物の独特の匂いが周りを取り囲む。アジアだ。
近くのコンビニで缶コーヒーを買って喉を潤し、トタン屋根のマハー・チャイ駅に着く。視線の先にある線路脇の市はピークを過ぎて店じまいをしているところが多く、閑散としている。バンコク方面から列車がやってきた。よいしょ、と、乗り込む。17時35分、定刻に出発しました。
マハー・チャイ駅の切符売り場
夕暮れの車中は駅停車のたびに出入りがあり、徐々に混んできた。都心に近づくと線路脇の露店が活気づいている。夕食の時間が近づきつつある。この旅も終わりが近づいてきた。このまま沈没したいという誘惑に駆られるが、そういう訳にもいかない。空がかなり暗くなった18時30分、5分遅れでウォンウィエン・ヤイ 駅に到着しました。
駅に近づいてきた。生活の匂いがそこはかとなく感じる 夕暮れの終着駅に到着
予約はディスカバリーラオスで
計画段階で一番悩んだのはLCRの切符入手です。2日前にならないと予約できません。次の4つの方法を思いつきました。①駅で直接並ぶ。②街中の券売所に並ぶ。③宿泊予定の宿にメール等を介して代理購入してもらう。④旅行代理店のサイトから予約する。2023年5月現在だと、LCRのスマホアプリも選択肢としてあるかもしれませんが、言語・決済方法・アプリの信頼度で、まだ現実的とは思いません。
いずれもパスポート情報が必要です。①は駅まで車で片道30分かかるうえ、言語等でハードルがかなりある。②現金では買えず、現地のスマホ決済が必要になる。つまり、並んでいるアカの他人に現金を払い、決済を代行してもらわざるをえない。そもそも、①②は直接並んで自分の順番にならないと希望する列車に空きがあるかどうかわからない、という致命的リスクがあります。日中に3往復程度しか列車がなく、リスクがありすぎます。③ネットで調べると日本人が経営している宿は切符の入手の苦労話をブログで書いており、信頼度がかなり高そうですが、いかんせん、宿の評価が悪いのと、手数料が高いので、次善策としました。④は、Discovery Laosのサイト(https://www.discoverlaos.today/)を最終的には選択・利用しました。
その理由は4つありました。①街中に店舗があるので、何かあると駆け込むことができる。②実店舗およびサイトが、トリップアドバイザーの評価が高い。③手数料も含めた費用が手頃で、クレジット決済ができる。④一時は予約を停止していたが、復活したこと。これは、安定供給できるようになったことの証だと考えました。
中国鉄路の貨物(ルアンパバーン駅) よ、読めん ムアンサイ市街(C82車中から)
とはいえ、当然、ハードルはあります。パスポートの画面情報をLineのようなWhatsAppで送らなければなりません。また、問い合わせにはFacebookのMessengerを利用せねばなりません。でも、なんとかなります。英語でのやりとりになりますが…
乗車の30日前から5日前の間にHPから予約、クレジット決済します。その際に切符の入手方法を選択・記載します。具体的には実店舗に取りにいくか乗車前日のホテルへのデリバリーを希望するかを選択します。すると予約証明書的なPDFが送られてきますが、切符ではありません。そしてWhatsAppでパスポートスキャンデータを送ります。HPの予約とリンクしていない煩わしさはあります。
最初のルアンパバーン・ムアンサイ往復の際、午後6時半に宿にチェックインしたにもかかわらず、まだ切符がデリバリーされていませんでした。営業終了の時間でしたが電話して、運良くつながり、まだ届いていない旨主張すると、程なくデリバリーされました。街中に実店舗があることが功を奏したようです。というか、ちゃんと届けてくれよな…。2日後、ルアンパバーン・ビエンチャンの切符は、そのこともあってか、Messengerアプリに、写真付きで「ちゃんと届けたよ」のメッセージが前日の昼過ぎに送られてきました。宿を移動していることに一抹の不安があったのですが、対応は完璧でした。というか、最初からそうしてほしかった…
LCRとは?
ラオス・中国鉄道(Laos Chaina Railway)の略。中国・昆明南とラオス・ビエンチャンを結ぶ路線で、2021年12月3日に開通しました。ラオス国内はビエンチャン・ボーテン(ラオス側国境の駅)間406㎞を結びます。開通当初は新型コロナの影響もあってか、それぞれの国内のみの運行で、旅客の直通運転はありませんでした。私が訪れてしばらくした2023年4月13日にようやく旅客の直通運転が始まりました。10時間30分かかるとのこと。特急のランソン(瀾滄)号と普通旅客列車があります。
戦利品の(?)ゲロ袋
ラオス観光のもう一つの目玉として、メコン川のスローボートに乗ることにしました。タイ国境近くのフアイサーイから、途中のパークベンで上陸し1泊し、2日間かけてメコン川を下り、ルアンパバーンに向かうというものです。
通常便だと4,000円程度ですが、「混む」「船内の移動が大変」とネットの記事にあるほか、年々改良されているものの、座席が貧弱のようです。もうそういうことを喜ぶ年齢ではないので、豪華スローボートをネットで探しました。その中で一番安いNagi of Mekong(https://nagiofmekong.com/)に乗ることにしました。ホテルは自分で探せば食事付きでUSD140(=約19,000円)で乗船することができます。メールで予約し、支払いは船の中でしてもらえました。
乗船前日、タイ・チェンコーンのホテルに案内書が届けられるので、乗船当日に慌てることはなく、安心です。当日、バンでピックアップしてもらえ、タイ出国・ラオス入国、船着き場への送迎も流れ作業的に対応してもらえます。2日間の昼食もついています。席も余裕があり、昼寝するスペースもあります。急峻な山に囲まれ、傾きつつある太陽が川面に反射するのを眺めながらコーヒー(インスタントだが)を飲むなど、なかなかおしゃれでしょ。
でも、2日間となると、正直飽きるかな…
メー・クローン線(市場)観光とアム・パワー水上マーケットの1DayTripについて
基本、上記のルートが一番効率いいのかな、と思います。ただ、アム・パワー水上マーケットでボートクルーズに乗ったのは失敗。水上マーケット観光を優先した方がいいです。 メー・クローン線を往復利用してアム・パワー水上マーケットを日帰りで楽しむには次のようになるかな、と思います。結構タイトですが、参考にしてください(⑥は省略してもいいと思います)。
①08:35ウォンウィエン・ヤイ駅(東線乗車)⇒09:28マハー・チャイ駅(②渡船)⇒③10:10バーン・レーム駅(西線乗車)⇒11:10メー・クローン駅(④線路上を軽く散策・観光・11:30発の折り返し列車を見物)
⑤11:45頃トゥクトゥクでアム・パワー水上マーケットへ(12時頃着) ⑥12時~13時ワット・バーンクン往復・観光(タクシーorバイクタクシー利用 ⑦13時~14時30分 アム・パワー水上マーケット観光と遅めの昼食
⑧14時30分頃アム・パワーからトゥクトゥクでメー・クローン駅へ(14:45頃着) ⑨14:45~15:30(ピークは過ぎているが)メー・クローン市場および周辺散策 ⑨15:30メー・クローン駅(西線乗車)⇒16:30バーン・レーム駅(⑩渡船)⇒マハー・チャイ市場を散策 ⑪17:35マハー・チャイ駅(東線乗車)⇒18:25ウォンウィエン・ヤイ
駅
「ラオスにはいったい何があるというんですか?」村上春樹著 文春文庫
村上春樹は「ノルウェイの森」以外は読んだことがありませんでしたが、タイトルに惹かれリュックに忍ばせました。氏のような優しい描写は私にはできませんが、「ラオスに何があるのか?」と聞かれたら、「特に何もありませんでした」というのが私の印象かな?ルアンパバーンはかなり観光化されていました。ビエンチャンも他のアジアの大都市と変わらない渋滞。そして大量の中国人観光客…
「タイ鉄道散歩 改訂版」藤井伸二著 イカロス出版刊
タイの鉄道について全線を網羅しています。写真も多く、これより詳しい初心者向けタイ鉄道のガイドブックはありません。